ジャック・ニコルソンばりの恐怖心をわたしに植え付けたビバですが、翌日も案の定軽トラの周りをウロウロとうろつき、首を精一杯伸ばして盗み食いをしようと企てていました。
もちろんボス不在です。
でも絶対届かない場所に置いてあったためわたしは平常心を保ちながら他の作業を黙々と進めていました。
そんな中、ボスが牧場へ歩いて向かってきたのです。
軽トラの周りをうろちょろしているビバを見つけると遠くからまず一喝。
徐々に歩みを進めながらビバをガン見し続け、その視線から逃れるように目を逸らしたビバはわたしの姿をしかと捉えたのです。
そして迷うことなくわたしの元へやってきて、無口のついたお鼻を差し出すと従順にロープをつけられ、あたかも「もう捕まっているのでお構いなく」とでも言いたげな様子でボスの方を見ていたのでした。


