視覚障害1
視覚障害2

ものすごくいい顔されてた……

ハロウィンの日、視覚障害者の方たちが乗馬体験をしに遊びに来られました。

フロンティアでは障がい者乗馬も行っており、これまで何度も個人、団体でのご利用を受け付けてきました。
ですが今回は視覚障害。しかも年齢が50代から80代と聞き、乗り降りはできるだろうか、騎乗中不安がらないだろうかとさまざまな不安が頭をよぎりましたが、午前中を貸し切りにして時間に余裕を持って行うことで、思い出作りのお手伝いをすることに決めたのです。

そして迎えた当日。
風もなく暖かな秋晴れの中、35名の団体が来られました。

運良く(?)遠方より遊びに来てくれていた7年ぶりの再会となる友人たちや、魚津の友人にも手伝ってもらう中、体験が始まりました。

踏み台の段差や幅はボスが言葉で誘導して手で補助を。中には最初に自分で手探りをしてサイズ感を確かめてから乗られる方もいて、わたしはハクちゃんを前で支えながらいちいち感心して見ていました。

だいたいの方が風を感じ、波の音を聞き、ハクちゃんの背の揺れを楽しまれていましたが、やはり怖がる方もいて、身をすくめて落ちる落ちると連呼し始めたのです。


するとボスが、子供の頃してもらった肩車と同じですよ、そう伝えると表情がゆるみ、楽しまれる方もいれば、納得しながらも最後まで緊張し続ける方もいましたが、それでもみんな乗ることができたのです。


生まれつき目が見えない方もいれば、病気で視力を失った方や、弱視の方、光だけは感じる方、など視覚障害者の方たちの事情は人それぞれです。

中にはタイでゾウに乗ったことがある、という全盲の方もいれば、子供の頃家に農耕馬がいて裸馬の背に揺られた、という方も何人かいました。

そのうちのひとりで、5歳で失明をしたという高齢の男性がいました。

その方は目が見えていた頃に見た馬を鮮明に覚えているらしく、とても穏やかな顔で乗られていました。
きっとその方の心の中には、あの頃見た馬に乗る自分と懐かしい風景が広がっていたのでしょう。
その横顔を見ながら、彼らひとりひとりの心の中には闇ではなく、豊かな色彩にあふれた光景が広がっているのかもしれない、そう感じずにはいられないのでした。