ビッグ恋の物語16−1
ビッグ恋の物語16−2


あの日は朝からずっとみんなと一緒にいました。
どこにも行かず、ビッグがいる厩舎にずっといました。
何をするわけでもなくみんなでただいる。
そしてお昼ごはんをみんなで食べて、ビッグはもう食べられなかったけどシルと一緒に食べて、また何をするわけでもなくみんなといました。

でも私はいったん家に帰ろうと言ったんです。

厩舎と家はまた鼻の先でしたが、ずっといればよかった。

今でもそう思います。その1時間でビッグは急変したから。


でも彼は待っていてくれました。
もう微かにしか息ができない状態で、私たちが戻ってくるまで生きていてくれました。




倒れてから一週間。
ビッグは戸惑い、そして理解し、何をすべきか考え、全力でシルのためだけに生きた七日間だったと思います。

そしてみんなが揃うことができる定休日に旅立つことを選んだのでしょう。

残された立場としては後悔は山ほどあります。
でも、ビッグの生き様は誇らしい記憶として刻まれました。

誰かを愛するということはどういうことか、教えられました。

短かった生涯だけれども、あんなに真っ直ぐで誠実で献身的な愛をシルに注いだビッグを馬としても男としても誇りに思います。

こうしてビッグは虹の橋へと旅立って行ったのでした。

FullSizeRender
唯一の4ショット