オープンしてからひと月くらいたった頃でしょうか。
この世に生まれていちばん!いちばん!疲れ果てていました。
そんな頃、放牧からウマコたちを連れて帰ることになったのですが、当時我が家にいたのはビッグ、シル、ビバの三頭。
ヨレヨレのボロボロの状態で迎えにいき、誰を連れて帰ろうかと考えたのですが、未調教の新馬だったビバ、女帝のシルを連れて帰る気力はない。
なので迷いなくミニチュアホースのビッグと一緒に帰ることに決めたのです。
無口にロープをつけ、さあ帰ろうと歩き出した途端、ビッグが突然走り出し、体の芯がグニャグニャ状態だったわたしは簡単に倒れ、あれよあれよと言う間に引きずられ走りだしたのでした。
当時の牧場には無数の木が生えており、わたしは仰向けのまま天を仰ぎ、「木にぶつかって死ぬかも」と覚悟を決めました。
今思えばすぐに手を離せばいいものを、何があっても手放してはいけない!と頑なに思っていたわたしはずっとずっとロープを握りしめていたのです。
つい最近もこれで失敗している(学習してないのか。。。)
はたと気づきロープを握りしめる手を解放したのはどれくらい引きずられてからだったのでしょうか。
運良く木に激突することはなく必死に体を起こすと、見つめる先には意気揚々と走り去るビッグの姿が。
そしてわたしは気づいたのです。
体の大きさは関係ない、と。
むしろ一〇〇キロ超えの馬は相撲取りと同じ。
到底力で敵うわけがない。
この日から当然ビッグに対する見方も丸っぽ変わったのでした。