カテゴリ: 馬の知能
馬を動かすには力や技術以上に気合いだっていうけれど。。。


フロンティアではビジターレッスンも行っており、
「遊園地に遊びに来たらまさかの馬がいた!」
「クラブに入会してみたいけどいきなり入るのは躊躇する」
などなどささやかな理由から一大決心をして来られる方まで、実に様々な方がレッスンをされます。
レッスンには大抵ビバが出動するのですが、その理由は日本語を理解しているため
忖度をするから。
どういうことかというと、力が普通にある大人の方でも、自信がなかったり躊躇しながら「どー」と声かけて手綱を引いても止まりません。
かといって速く歩くなど意地悪もしませんが、まるで何も上に乗せていないかのような表情でゆっくりと進んでいきます。
それなのに、小学校低学年の小さな女の子でも、「絶対止める!」と強い意思を持っていれば、たとえか細い声で「どー」と言っても、か弱い力で手綱を引いても「ピッ」と停止するのです。
すなはち、ビバを言う通りに動かせない人には
「指示に迷わないこと」
「力だけでいうことを聞くものではないこと」
「堂々とすること」
などに気づいていただけ、ビバを動かせた人には大きな自信をお土産に帰っていただけるのです。
またうちはレッスンのほか、15分からフリー乗馬もできるのですが、力みすぎるとそれはそれでビバにエンジンがかかってしまい力比べの状態になってしまいます。
これはフロンティアをオープンする以前のわたしもそうでした。
御殿場でカウボーイマウンテッドシューティングの競技に参加していたのですが、当時は今よりも全然技術もありませんでしたが、ただ気合いだけは十分ありました。
そして、本番ではとにかく駈歩で走行してカッコつけたかったのです。
なので練習の時は動かない(動かせない)馬でも、本番ではわたしのエンジンが全開なので、気合いが馬にも伝わり、すんなりと駈歩発進が出せるのです。
もっとも馬自体、今日は競技の日だとわかっているのでしょうが、それでも恥ずかしがったり戸惑っていては馬も動きませんし動いてもちんたらちんたら歩くだけ。
だから、少なくともわたしの気合いは伝わっていたのだと思います。
話が脱線しましたが、我が家のビバに話を戻しましょう。
彼はものすごく感受性が強いので、心の中で「そろそろ駈歩だそう」なんて思ったらすぐに伝わってしまいます。
この感受性の強さはわたしが今まで会ってきた馬たちの中でも群を抜いて強い。
なので、上記のお客さんのように力みすぎるとビバのエンジンが瞬く間にマックスになってしまうので、なるべくニュートラルな気持ちでいることを心がけています。
ではハクちゃんはどうか、というとビバとは真逆で、彼こそ気合いが必要です。
思う通りに動かせず「あ〜」なんて一瞬でも思ったらハクちゃんの思う壺。
動かなかったら「はあああっん」と唸り声を上げてあからさまな気合いを伝え、こちらの揺るぎない意思をまっすぐに伝えないと彼には伝わらないのです。
なのでハクちゃんはひき馬でのレッスンならまだしも、フリー乗馬はよほど乗れる方でないと大抵の場合自信喪失してご帰宅いただくことになるためあまりおすすめはしていません。
同じ馬なのにこうも違うのかと思うと同時に、うちは3頭しかいないのに似たようなコがいないのが面白くも思うのでした。
長い話しが心に響きにくいのは人も馬も同じなのか


わたしはよくウマコにしつこいくらい話しかけます。
おかげでボス以外の人間と会わない日が続いても、口が回らなくなることもなく、むしろ饒舌かもしれません。
さて、ウマコに話しかけること自体は悪いことではなく、むしろ良いことだと思っているのですが、ついついやりがちなことがあるのです。
それは、本来「短く明確」に出すべきである指示を、長々としてしまうのです。
どういうことかというと、通常我が家では足の裏(ひずめの裏)の汚れを道具を使って掘り出すお手入れをする際、「足」と声をかけて、わたしの場合はそれと同時に足をトントンと2回軽く叩いて合図を出します。
そうすると皆、ピッピッと足を上げてくれるのですが、特にハクちゃんに対しては、「今日はいいお天気だねー」から始まり長々と話しながら「じゃあ足しようか」と指示出しをしてしまうのです。
考えてみればそんな長文の中で「足」の指示を出してもわかりっこないですよね。
ただ、それに気付きながらも「もーいつもできてるじゃんー」とまたしても長文はで話しかけてしまうので、永遠にお手入れが終わらないのでした。
いいかげん学習しよう、わたし。。。



馬は人間の言葉を理解している



1歳4ヶ月で我が家に来たビバは、おそらく日本語をわかっています。
動物と暮らしている方あるあるでしょうが、うちもよくウマコたちに話しかけています。
以前馬と会話ができるという海外の方の本を参考にジェスチャーでの会話を試みたことがあるのですが逆ギレされてしまい、結果、これまで通り日本語で話しかける方が通じるという結論に達したわけです。
ビバが日本語を理解していると思うそのわけは、漫画にあるようヒソヒソ話しているはずの会話をしっかりと聞いていて、実行に移すから。
おそらくこの4年間何度も同じ単語を聞いているので水を飲む、どいて、ごはん、お仕事、レッスン、外乗などの言葉を覚えているのでしょう。
何よりも乗馬のお客さんが来ると、何も言わなくても牧場の馬小屋の出口に待機して、こちらが来るのを待っていてくれるのでありがたい!
ギューっと抱きしめてグリグリしていいこいいこを思いっきりしてチューってしたいのは山々なのですが、それをするとイヤがるのでグッと我慢して、お仕事が終わったらおやつをあげるのでした。
観察力に長けていても実戦に強いとは限らない残念な馬もいる


我が家に来て、真っ先に縄外しを覚えたのはビバ。
私たちの手元をじっと観察し続け、ある日器用にロープを外すと、嬉しそうにくわえたまま佇んでいました。
今ではいとも簡単に外せるようになってしまったので、彼だけは少々複雑な結び方をするようになりました。
さて、この四年間、その様子をジッと観察し続けたコがいます。
その名はシルちゃん。
けれども何度トライしても外すことはできないのです。
そうなんです。シルはビバがロープをくちゃくちゃと噛むことで外していると思っているのです。
くわえてからビヨーンと引っ張る。
この動作までは理解できないようで、いつまで立ってもロープをかむことしかできずにいるのです。
先日馬小屋を掃除していた時のことです。
先に掃除とお手入れを終えたビバを外に出し、ロープで繋いでいたのですが、シルも出たかったようで、仕切りにロープを噛んでいました。
でもいくら噛んでも外れないロープに首を傾げている横を、いつの間に覚えたのか、ロープを引きずりながらハクちゃんが馬小屋を出ていくではありませんか。
それを目撃したシルは一瞬ギョッとした表情(に見えた)で固まると、その後も必死にロープを噛み報われない努力をし続けるのでした。
※このあとすぐハクちゃんは捕獲されました。


