ニンジンを上手に食べられるようになったビバたん。
確かに上手にはなりましたが、ハクちゃんシルの中に混じると食べ方に勢いがあるので、やっぱり怖がられてしまうのです。
牧場の部屋では一番奥に位置するビバの部屋。
その手前でお客さんが皆踵を返しビバはただ目の前を通り過ぎることもない人々を見つめるだけ。
その手前ではハクとシルがキャッキャ言いながらニンジンをもらっている。
居た堪れなくなったビバはふいっと後ろを向くとみんなに背を向けていつもの場所に。
ここは誰とも目を合わせなくてもすみ、ハクとシルがニンジンを食べているのを見なくても済む唯一の場所。
彼はここで日本海を見つめがら時間を過ぎるのをじっと待つのです。
暇な日ならわたしたちがビバに何かしらあげます。
そしてお客さんにも「よければあげてみて」と促します。
でも休日はそんな余裕はなく、ビバにはひとり、耐えてもらうしかないのです。
そうしているうちにお客さんの波が収まり手が空いた時、ひとりのお客さんがビバの部屋の前でニンジンを握りしめて立っていました。
「ニンジンをもらえないビバを気遣ってくれたのだろうか」
と思い嬉しい気持ちなったのですが、ビバは一向にこちらには来ず。
見兼ねて声をかけると、微塵も期待をしていなかったのでしょう。
ものすごく元気のない悲しげで寂しげな表情を浮かべながら気だるそうにこちらを振り返るではありませんか。
ただその直後、ニンジンを握り締めたお客さんを視界に入れた途端、ニコニコ顔でルンルンと小走りに駆け寄ってきたのはいうまでもありません。
よかったね、ビバ。












