小さいながらもバランスの取れた体つき、片目をおおう長毛、栗毛に金髪、うちに来た当初のシルは一度も女のコに見られたことがありませんでした。
それどころか「ラオウの馬」と呼ばれ、男の子たちから絶大な人気を誇っていたのです。
ただ、我が家で唯一の女のコ。
せっかくなら可愛くしたいと思い、前髪をぱっつんカットにしたのでした。
理想はサラサラペッタンのすずちゃん前髪。
でもカットしていった髪から順に厚みを増し、仕上がった前髪は厚さ3〜4センチのもっさり前髪。
馬用のトリートメントをしても厚みが減ることなく、梳いてみたら余計に厚みが増し、とかしていない時の前髪はざんばら髪そのもの。
それならばせめてたてがみだけでもおしゃれにしようと編み込んでみたのですが、毛量が多すぎてしめ縄状態に。
そんな時、SNSで知り合った馬友さんの愛馬ライムちゃんが前髪を可愛く結えている画像を見たのです。
ものすごく可愛くて、これならシルもできると思い早速試したら、酋長が出来上がりました。
それでも前髪をぱっつんにしたことで、お客さんからは女のコだと認識してもらえ、嬉しいことに可愛いと声をかけてもらえ、可愛いと言われることで徐々にシルの表情は柔らかくなっていき、5年経った今は、身も心もすっかり可愛いシルちゃんに変身したのです。
髪型が全てではありませんが、それにより、かけられる言葉が変わると馬も人もきっと言葉通りに変わっていくのだろうなと思うのでした。